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化石 2  小林久三 [小林久三]

 化石をタイトルに有する推理小説として、今回は小林久三氏の「化石の弔鐘(ちょうしょう)」を取り上げる。本書は1981年2月に光文社からカッパノベルスとして発行され、その後、「赤い旅券」に改題された。

あらすじとしては、「第二次大戦時、旧満州で旧日本軍の細菌部隊が開発した細菌兵器を、戦後密かに日本に持ち込んだ。秘密を守るため隠した場所の村民を細菌で殺戮実験を行い、運搬した人間には子供を犠牲にしてまでも秘密を守らせる。そして、ヘリコプターでの細菌散布が開始される。その時、新聞記者である主人公三木は、この機関ばかりでなく、アメリカや日本政府までも関知しているかも知れない散布による人体実験を、原稿に書いて暴露しようと決した。」ここで小説は終わる。

 この小説を読んで、薬害を扱った西村京太郎氏の「天使の傷痕」(「事件の核心」を改題)を思い出した。私には社会派小説として何か類似の感覚があった。調べてみるとやっぱり。「事件の核心」は1965年第11回の江戸川乱歩賞受賞作。小林久三氏は9年後の1974年に第20回江戸川乱歩賞を「暗黒告知」で受賞しており、それは足尾銅山事件を描いたものだ。両氏とも推理の根底に社会派小説の考えが流れていたのだろう。

さて、「化石の弔鍾」からは直接化石に結び付くものはないが、「・・三木は一瞬、化石のように立ちつくした。」との表現が化石としては唯一でてくる文言だ。この表現で、体が石のように固まった様子を示しているのだろうか。残念ながら、化石が推理に関係とまではいかなかった。
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